後天八卦(文王八卦)とは:方位・季節・五行と覚え方
2026年10月24日 更新
後天八卦(houtian bagua)は、八卦を一年の順に従って方位の周りに並べた配置です。春の震(雷)が東、夏の離(火)が南、秋の兌(沢)が西、冬の坎(水)が北にあり、残りの四卦が四隅を占めます。説卦伝の一節に由来し、伝統的に文王の作とされ、風水や九宮、暦にもとづく多くの術が実際に使っているのはこの配置です。
出典:説卦伝の一節
十翼のうち八卦を論じた説卦伝(說卦)は、一年を、帝——「主宰者」あるいは万物を生み出す力——が八卦をめぐる旅として描いています。
帝出乎震,齊乎巽,相見乎離,致役乎坤,說言乎兌,戰乎乾,勞乎坎,成言乎艮。
「帝は震に出で、巽に斉え、離に相見え、坤に役を致し、兌に説び、乾に戦い、坎に労し、艮に成る」。続けて本文は方位を挙げます。震は東、巽は南東、離は南方の卦、兌は正秋、乾は北西、坎は北、艮は北東——物事が終わり、また始まる場所です。坤の方位ははっきりとは書かれていませんが、順番の位置から南西になります。
説卦伝のこの一節は古いものですが、この図を「文王の」と呼ぶ習わしは宋代の邵雍にさかのぼります。邵雍はこれを自らの先天八卦の円と対比させました。説卦伝の一節を文脈ごと読みたい方は説卦伝のガイドをご覧ください。
方位ごとの配置
中国の図では南を上に置きます。一年の順にめぐると次のとおりです。
- 震 ☳——東——仲春——木。 雷、最初の目覚め。物事が出てきます。
- 巽 ☴——南東——晩春から初夏——木。 風、成長が広がっていきます。
- 離 ☲——南——盛夏——火。 光とすべてが見える明るさ。物事が「相見える」ときです。
- 坤 ☷——南西——晩夏——土。 働く田畑、実りへと向かいます。
- 兌 ☱——西——仲秋——金。 収穫と喜び。
- 乾 ☰——北西——晩秋から初冬——金。 一年が寒さへと向かうなかで陰と陽が争います。
- 坎 ☵——北——真冬——水。 労苦、休息、取り入れ。
- 艮 ☶——北東——晩冬から早春——土。 静止。一年が終わり、次の一年が始まる場所です。
八卦の一覧の各ページには、それぞれの象が詳しく載っています。名前になじみがなければ、八卦のガイドから始めるとよいでしょう。
季節と五行
円に沿って五行をたどると、きれいな流れが見えてきます。木(震・巽)が火(離)へ、火が土(坤)へ、土が金(兌・乾)へ、金が水(坎)へ、水が土(艮)へ、そして土がふたたび木へ。これは五行の相生の循環で、土が季節の二つの節目に置かれています。先天八卦の円が陰陽の成り立ちを示すのに対し、後天八卦の円は陰陽が時間のなかでどう動くかを示しています。
暦も同じ構造を取り入れています。孟喜に結びつけられる漢代の「卦気」(卦氣)説では、四正の卦である坎・震・離・兌がそれぞれ一つの季節をつかさどり、その二十四爻が二十四節気に対応します。八卦はまた季節の八つの節目とも重なります。艮が立春、震が春分、離が夏至、坎が冬至というように、一年をめぐります。
家族と九宮
説卦伝は八卦を一つの家族ともしています。乾は父、坤は母、震・坎・艮は長男・中男・少男、巽・離・兌は長女・中女・少女です。後天八卦では、両親が北西と南西に立ち、息子たちは北と東の側に、娘たちは南と西の側に集まります。
中央に九つ目の升目を置くと、この配置は九宮になり、洛書の魔方陣で番号が振られます。坎1、坤2、震3、巽4、中央5、乾6、兌7、艮8、離9。どの行、列、対角線も足すと十五になります。八卦と九宮の結びつきはすでに漢代の文献に見られ、後に標準となりました。
風水や暦が後天八卦を使う理由
後天八卦は過程——時間と場所——の地図なので、方位が重要になるところではどこでもこの配置が使われます。
- 風水。 八宅派は方位によって家と人を後天の八卦に割り当て、玄空飛星派は洛書の数を年ごとに九宮のなかで動かします。
- 奇門遁甲などの九宮を使う術も、同じ升目の上に盤を組みます。
- 梅花心易は、数を八卦に変えるときは先天の順を使いますが、兆しの方位を読むときは後天八卦を使います。梅花心易をご覧ください。
よく使われる要約は「先天為體,後天為用」です。先天八卦は根底にある構造、後天八卦は実際に使う地図というわけです。八卦の図を見かけたら乾を探してください。上にあれば先天、北西の隅にあれば後天です。
覚え方
次の三つの方法がよく効きます。どれか一つで十分です。
- 説卦伝の一文を覚える。 帝出乎震 … 成言乎艮 が八卦を順に挙げています。東から始めて、一年をぐるりとめぐってください。
- 洛書の口訣を覚える。 戴九履一,左三右七,二四為肩,六八為足——「九を戴き一を履み、左は三、右は七、二と四は肩、六と八は足」。南を上にすると、上に離9、下に坎1、左(東)に震3、右(西)に兌7、両肩に坤2と巽4、両足に乾6と艮8が来ます。
- 四季を軸にする。 火は南の夏、水は北の冬、雷は東で春を目覚めさせ、収穫の沢は西の秋。四隅は自然に埋まります。父なる天と母なる地が西側の二つの隅に、風と山が東側の二つの隅に入ります。
占いを読むときの後天八卦の使い方
易経の本文は方位の図なしに書かれており、図がなくても卦はよく読めます。後天八卦が役立つのは、問いに「いつ」や「どこ」が含まれるときです。雷の卦である震が占いの中心にあれば、伝統はそれを始まり、東、春と結びつけます。坎が中心なら、冬、北、努力の時期と結びつけます。これらは本文の理解を助けるかもしれない象として扱い、時刻表としては扱わないでください。易経における時期の判断は、いつも状況を読むことにかかっています。詳しくは時期を問う占いをご覧ください。そのうえで卦辞と変爻に戻りましょう。答えはやはりそこにあります。